札沼線 本中小屋-中小屋 "中小屋俯瞰"

2020.2.29 札沼線 本中小屋-中小屋
2020.2.29 札沼線 本中小屋-中小屋 "中小屋俯瞰"(Nikon D800E, AI AF 80-200 F2.8D NEW)
 

冬の大地を、滑るように走りゆく。

朝の知来乙駅でのカットを撮影した後は一日に一本しかない新十津川行き5425Dを追っかけ。目を付けていたポイントで効率よく回収しつつ新十津川へ到着。返しの上り列車も月形まで追っかけたのち地元のお店で昼食休憩。オムライスを食べながら午後の撮影地を考えるが思いつかない。

困ったものだ、どうしようか。頭を抱えつつ店の外に出ると予想以上のクリアな空。ここはひとつ、ギャンブルに出てみよう。会社の昼休憩の時間を待ち、前日お世話になった富良野のおっちゃんに電話。目を付けてはいたものの登り口が分からなかった俯瞰のヒントをご教授いただくことに。おっちゃんも例の俯瞰は知らなかったものの撮り鉄らしき車が駐車しているポイントは教えてくださった。逡巡ののちこれをヒントに登ることを決意。ヴィッツのキーを捻って中小屋へ急行した。

線路沿いの国道をうろうろしていると怪しい空き地にオーラを放つノートが駐車しているのを発見。Uターンしてヴィッツで空き地に突っ込むとやはり「れ」ナンバー。おっちゃんが登山装備で雪山アタックの準備をしていた。やった!ビンゴ!ザックに機材を詰め込み雪山アタック。片道1時間半かけて登った先には絵に描いたような雄大な北海道の雪原が広がっていた!さらに夕張岳や芦別岳まで見渡せる好天候。賭けに出てよかったー!

余談になるが登り口で出会ったノートのおっちゃんは横浜から、もう一人のおっちゃんは我が故郷、愛知県は江南からはるばる来たとのこと。二人とも宿に泊まったとのことだったが、ホテルは軒並み一般客がキャンセル。がらがららしい。江南のおっちゃんの泊まった月形の旅館に至っては「今泊まっているお客さんは仕事か撮り鉄だけ」と語っていたらしい。やっぱ撮り鉄ってアホっすねーと皆でゲラゲラ笑っていたのだが、まさか一か月後にあんな形で幕引きになるとは誰も予想だにできなかったであろう。

この遠征で味を占め桜が咲くころにもう一度訪問できると思っていた札沼線末端区間。帰りの飛行機の中で立てた再訪計画も虚しく最後はあっけなく終焉を迎えることとなった。時代に取り残された四季の線路端は雪解けとともに消え去ってしまった。