一年間の浪人期間、全く鉄ができなかった。とは言うものの夏ごろまでこっそりカメラをリュックにつめては名駅近くの某予備校から出撃のタイミングを見計らっていた。
そんな不謹慎な私に鉄道の神様からとうとう天誅が下った。カメラを参考書がいっぱいに入ったリュックに詰めた状態で落下させてしまったのだ！レンズは鏡筒がひん曲がって撮影不可能に。ボディと望遠レンズにはダメージがなかったのが不幸中の幸いだったが、それ以来さすがに懲りてカメラは一度も触らず、来る日も来る日も勉学に励んでいた。しかし完璧な断鉄などできるはずがなく、勉強の合間に鉄の妄想を膨らませていた。その妄想の一つが浅間山バックでアルペンブルーを纏う115系新信州色を極めること。脳内には浅間山を横目に駆ける新信州色115系の激Vカットが出来上がっていた。
長い長い1年間の浪人生活がやっと終わった3月、父と弟がスキーをしに長野へ行くとのことだったので、ついでに乗せてもらって、別行動で鉄道を撮ることにした。運用表によると二日間の滞在のうち、初日は初代長野色。そして二日目は待望の新信州色が充当されるらしい。やったぜ、俺は持ってる！期待に胸が膨らんだ。
当日、乗る予定であった列車に乗り遅れてしまい、「ワイドビューしなの」に課金。なんとか現地に乗り込み、さらに駅で自転車を組み立て撮影地へ。駅前から国道に出た時、目の前の浅間山に圧倒された。とにかく、雄大でなんかこう...デカい！(小学生並みの感想) 眼前に立ちはだかる浅間山を見てますます期待が高まる。
撮影地の天気は良好、同業者なし、浅間山に雲がかかっているのと、線路わきの白い箱が邪魔な事以外は完璧。空も文句なしに青い！しな鉄色の115系を一本撮ってすぐ、初代長野色の115系がファインダーに現れた。これはイケてる！明日の本命、新信州色の115系に期待が高まる。
しかし、本命当日の朝は雲一つない晴れであったものの、撮影地に乗り込むと、空がガスってきた。これは嫌な予感。通過前になってもスカッと晴れない。結局本命の新信州色の115系は優勝することなく終わった...
地元に戻ったら再履修決定、今度こそは雲一つない雪晴れで極めてみたいものだ。