札沼線 札比内-豊ヶ岡

2020.2.27 札沼線 札比内-豊ヶ岡
2020.2.27 札沼線 札比内-豊ヶ岡(Nikon D800E, AI AF 80-200 F2.8D NEW)
 

静寂を切り裂いて、雪原に走る一条の光。

一日中粘り続けたこの撮影地もいよいよ終わりを告げようとしていた。ご一緒させてもらった富良野のおっちゃんは新規撮影地開拓のためここでお別れ。ぽつんと一人、凍てつく大地で列車を待機する。

ラストターゲットは日没後の雪原を走るヨンマル。今回の撮影行脚の最重要履修課題のひとつである。月形町の日没時刻は17:18、札比内駅の発車時刻は17:44。その差は26分。確証はないが今までの経験からしてなんとか間に合うはずである。17:18より少し前、地平線に日が沈むと同時にカウントダウンが始まる。17:30、カメラの設定はISO400,SS1/100。この設定でもヨンマルなら止まるはず。背後の山々がうっすら茜に染まり美しい。今だ、今来てほしい。だが決まったダイヤはどうすることもできない。刻一刻と夕闇は迫り、撮影不可能となる瞬間はもう目の前まで迫っている。
17:40、ISO1600,F2.8,SS1/80。これ以上の高感度はD800Eでは使いものにならない。SS1/100を切るとおそらく列車はブレるし、F値も限界。仕方ない、アレをやるしかない。いつものお手軽絞り優先モードから本気のMモードへ。ISO1600,F2.8,SS1/40。SSを下げてイチかバチか流し撮りで勝負に出る。
17:45、ファインダーに列車が飛び込んできた。全神経を集中してヘッドライトを追尾してシャッターを切る。結果はどうだ!?モニタを確認すると、そこには脳裏に描いていた通りの画が映し出されていた!おっしゃあああ!!誰もいない雪原でひとり、勝利の雄叫びを上げた。

この後すぐに真っ暗になり撮影は不可能に。強烈な寒さのために立ち上がると足の親指の先っぽの感覚が既になく、歩く度に指の付け根が痺れて激痛が走る。これ以上滞在していたら今頃親指は切り落とす羽目になっていたかもしれない...身体も機材も限界ギリギリの中勝ち取った一枚となった。