広島県の最北端に位置する庄原市は備後落合駅から、島根県は宍道湖の畔に位置する宍道駅までを結ぶ、木次線。総延長はわずか81.9kmながらも、のどかな田園風景から急峻な山岳地帯まで、様々な情景の広がる、魅力あふれる路線である。
そんな木次線に訪れる、11月からの1ヶ月間は沿線が紅葉に染まる季節。冬支度のために奥出雲おろち号の運行は例年11月末で終了、陽もだんだんと短くなるこの時期は哀愁をも感じさせられる。そんな色彩豊かな美しさと、冬へと向かう寂しさの同居する季節の情景を自分なりに切り取ってみた。
八川の大イチョウは、秋を迎えると地面に黄金の絨毯を作り出す。多くのカメラマンが構える校庭を奥出雲おろち号はかすめていく。
横田の停車を利用しておろち号を追い抜き、お気に入りのオーバークロスへ。計算上、この季節はいい感じに陽が当たるハズ。急いで三脚を立てて構図を決めると、程なくしてDE15が森の中から現れた。陽の低くなる秋しか見られない、特別な一瞬。
3日後にはテツの世界に引きずり込んだ友人2人と沿線をドライブ。ほとんどの工程で曇りであったが、出雲坂根で停車中に一瞬だけ晴れ間が差し込んだ。たまには複数人とゆっくり焼き鳥を頬張りながら撮影するのも楽しいものだ。
紅く染まった中国山地のピークを下る、奥出雲おろち号。今や全国的に珍しいスイッチバックが存在するこの区間は急勾配が続く、木次線随一の難所である。
シーズン最後の日はお気に入りのポイントで撮影。雲一つない青空と紅葉のコントラストが美しい。最高のコンディションの下、デジとフィルムで2丁切り!
以前にもまして、良からぬ噂の錯綜する木次線。おろち号に関して、来年まで「は」運行するが、その後に関しては不明とのこと。別れの日はそう遠くないのかもしれない。時間の許す限り、西日本随一の風光明媚な路線で活躍するDE15の活躍を最期まで見続けていきたい。