私が鉄道好きになったのは高校1年の冬、かつて乗ったことのあった高山本線のキハ40系が引退すると聞いて乗りに行ったことがきっかけだ。そこで重厚なエキゾーストノートや武骨な国鉄デザインに魅了されて、鉄道にハマってしまった。
そういう訳でJR東海のキハ40系は僕にとって特別だった。高山本線に次いで紀勢本線からも完全撤退すると聞いたとき、何としてでも撮りに行こうと決意した。当時の私は滅茶苦茶忙しかったが、そこをなんとかして日帰りで行くことに。ギチギチに埋まった予定を何とかして一日だけ空けた。今考えれば、晴れるかもわからないチャンスに賭けるというのは、物凄いギャンブル。だが、当時の私は何も考えていなかった。そういえば、雨が降っても味になるとか考えていたっけ。今となっては考えられない。しかし、ビギナーズラックのおかげだろうか、当日は見事に晴れ。クリアな空の下、鈴鹿山脈を背に駆けるキハ40系を極めることができた。
ところでこの撮影地、実はネットに作例があまり上がっておらず、特にこの写真のようなアングルは見たことがなかった。しかも、事前の下調べでは、ここは菜の花畑になっており、予定では真っ黄色の菜の花の絨毯の上をキハ40系が駆ける、という構図にするつもりであった。(当日はほとんど刈り取られてしまっていたが...)
そんな訳で、少ない情報を頼りにgoogle map等でリサーチして遠征したこの撮影地は「俺の撮影地」と勝手に思い込んでいるのだが、今となっては撮るものがなくなってしまった。不細工なキヤなんちゃらは食指が動かぬし、キハ85を撮るなら高山本線へ行くだろうし。キハ40系が引退してしまった今、足を運ぶことはもうないだろうなあ...