さくらとりっぷ2020

桜咲く鉄路、少し冷たい春風に吹かれながら。

古来より我々日本人が春を感じる情景には、桜があった。歴史や教養に疎い私でも千年も前から桜を詠んだ歌があるのは知っているし、現在に至っても春になればラジオから桜をテーマにした曲が流れてくる。勿論、私とて例外でなく、桜が大好きである。春という季節を表現するのにこれほどに適した役者はいない、桜。順光では淡く美しい色で我々を魅了し、逆光では光を透過してきらきらと輝く姿は被写体としても魅力的である。
そんな桜を追いかける計画は、想定外の大事件で狂わされた。2020年春、得体の知れぬウイルスが全国に蔓延して大混乱。花見は一斉に中止となるどころか外出の自粛も呼びかけられ、多くの日本人が不自由なく花をめでることの出来ない異様な春となった。撮り鉄も例外でなく、各種イベントが軒並み中止に。しかしそんなことで戦意を削がれることは無いのが撮り鉄という生き物の悲しい性(さが)。全国展開したい欲求を抑えつつ、本年度のターゲットは近所の桜に設定して、撮影地付近に長居しない短期間のゲリラ展開で結果を残すことに決めた。
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満開の春に飛び出して。